構築中。

名古屋のITインフラお守り係です。ITイベントへの参加記録などを残していきます。

障害で週末が消滅

システム移行が近いことを察知してか、職場で使っているシステムの一部が障害を起こして停止したのが金曜日の午後。

基本的にほぼすべてのユニットが二重化されているにもかかわらず、電源が両系統ともほぼ同時に落ちたのでそのままダウン。

ハードウェアアプライアンスではありますが、IAサーバベースのハードウェアにBSD系(もしかしたらLinux系だったかもしれない)OSをベースにしたファームウェアが載っているだけのシステムで、修理対応もユニット交換のみ…のはずですが、なぜか1日では終わらず、翌日丸一日潰しても直らず、日曜日の昼になってようやく「直ってるはず」ということになりました(その後は「上物」の修復に半日…)。

 

「はず」というのは、修理の手順の中である処理をしている最中にカーネルパニックでOSが落ちたにも関わらず、「何らかの原因でそういうことが起きた事例が過去に1つあったからハードは壊れてなくて正常だよ」という、意味不明な説明で「直った」ことにされてしまったから、です。

買ったのはハードだけではなくてソフトウェア(ファームウェア)込み、なのに。

「何らかの原因」って何だ?

作業後に「ログからは完全に正常動作していることが判断できています」と言っておきながら、「そういう判断(=完全に正常動作)ができるってことは、ログから障害時に発生した一連の事象や破損したデータの具体的な場所の情報が分かる(とともに、それらが対処されたことも記録されている)ってことですよね?」と聞いたら「そのような細かいことはログには記録されていません」だとか(ここ数年「センサー増量中」とはいえ、所詮IAサーバベースのマシンなので、細かいことがわからなくて当然と言えば当然です)。

その程度の「粗い」ログを、作業が手詰まりになるたびに取らされて、解析のために待たされて、結局「細かいことはわかりませんでしたが、直るかもしれないので次は○○をやってみてください」という場当たり対応。

それを繰り返しているうちに、ほぼすべてのユニットが交換され…でも、直らない(笑)。

試すべき組み合わせや、電源を入れる/落とす/リブートする/設定値を変えるなどの実施タイミングが重要な作業があるにも関わらず、オンサイトで作業する修理業者に指示を出す側のメーカー担当者自身がその知識を持っていないために、時間を無駄遣いし、バックアップされて残っていたはずのデータも消え…。

 

メーカーにもよりますが、ここ数年、保守サポートの質の低下が目につきます。

・「ミッションクリティカルなシステムのためのプロサポート」にも関わらず、電話が繋がらない、メールを送っても無視。

⇒「障害検知で自動発報」にシフトしているせいもあるのでしょうが、予期せぬ形で電源が完全ロストしてしまうと、発報自体行われません…。

・やっと電話が繋がったと思ったら、「その製品の担当者ではないので対応できません。担当者から折り返します」と言われてしばらく放置。

・電話口でやたらと「診断ログを出せ」と言ってくる。ログを出すのに小一時間。

・合理化のため保守部品の在庫が最小限に絞られているので近隣に存在せず、はるか遠く離れた拠点からやってくる。

・↑のような事情があるので、受付時に初めから複数必要なことが分かり切っているにもかかわらず、1個ずつ小出しにしてくる。

・届いた保守部品が初期不良で再手配。修理業者・保守作業員が何も仕事をできずにそのまま帰る(その数時間後、別の人がやってくる)。

・結局、何だかんだで「○時間対応」が守られることはほぼない(窓口で受け付けてから実際に修理開始になるまでに半日近く掛かることもザラ)。

…書ききれなくなってきた。

昔からの「あるある」も含まれていますが、加えて最近は,

・判断の根拠や作業指示の意図を正しく説明できないサポート担当者が増えた。

…が目立つような気がします。

 

「現場での目視確認よりも、とにかくログ取得」「素人のような担当者が対応する」というのは、メーカー側が「大方の故障・単純障害は誰でも対応できるように」する取り組みによるものでしょうが、その分、複数の構成要素が(連鎖的に/偶然に)故障したことによる障害など、少し難易度が高い対応が上手くできなくなっているのかもしれません。

そのうち、AIで代替されそうな分野ですね。

特にAI導入初期の頃には「驚きの一手」を指してきて唖然とするかも。

 

なお、特に今回印象的だったのは、

・これまでは時間帯を区切って交代勤務していたはずの電話サポート窓口の担当者が、初日(金曜日)の夕方にローテーションで交代してから3日間、早朝から深夜までずーっと同じ人のままだった。

⇒電話サポートはストレスフルで離職率が高く採用難とは聞くけれど、いよいよヤバい状況?

ということです。

3日間、最初から最後まで「参戦」していた私が言うのも間違っている気がしますが、大手で元々きちんとしたルールがある企業でも、コンプライアンスを守るのは容易ではなくなってきた模様。

こちらも、いずれ窓口が完全機械応答化し、各種手配がAIで代替されそうです 。

そして、斜め上から「トンデモ質問」が飛んできて、回答に窮してしばらく沈黙しそう。

 

そろそろ、本格的にオンプレITインフラの世話係から足を洗う時期が来たようです。

5項目増えた

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の公開情報の項目の話です。

今回、

・連絡先電話番号

・連絡先メールアドレス

・得意分野

保有スキル

・自由記述400字以内

が増えたそうです。

得意分野、保有スキルは「i コンピテンシ ディクショナリ」から選択してくれ、とのこと。

iCDオフィシャルサイト :: ホーム

 

「レイヤ1(ブツ製造以外)からレイヤ7まで」薄く広く関わっている身としては、「これが得意分野」というものが…ない。

セキュリティ関連は、特に。

保有スキルについては、考えられる選択肢がたくさんあるのですが(でも、薄い。←ハゲではありません)。

 

所属先と関係なく個人的に登録している身であり、変に関心を持たれても困るので、どうしたものか思案中です。

 

 

登録セキスペの登録申請準備以降の記事一覧はこちらです。

※一覧は↓にも付くようになりましたが。

例の訴訟の件

「例の」って何の?という話ですが、freeeがマネーフォワードを特許侵害で訴えた件です。

そのものずばりのタイトルを書くと、間違って検索流入してくる人が増えそうなので、あえてぼかしてみました(かえって間違った流入が増えたらどうしよう…)。

 

提訴がニュースになった時に、freeeの特許がどんなものなのか検索して全文を読んでみました。文中には「MySQL」など馴染みのワードが並んでいたりして、興味深いものがあったのですが…正直な感想は、

「これ、特許として認めていいの?」

でした(freeeの皆様、ごめんなさい)。

というのも、「摘要と仕訳の対応テーブル」や「サジェスト・入力アシスト」、「Web会計ソフト」など、要素技術としては既に世に存在し、ある程度認知されていたものばかりであり、それら自体に「新規性」「進歩性」があるものではなく…もっとも、それらの「組み合わせ」が「容易に思いつかないもの」であれば特許として認められても良いのですが、実際のところ、この組み合わせは、会計ソフト業界や自社でソフト開発会社・部門を抱えている税理士事務所であれば「一度は考えたことがある」と言ってもいいような内容なんですね。

実際、私の勤務先の当時のボスも、freeeが出てくる何年も前から、似たような仕組みについて「これは作れんのか?」ということを何度も言っていましたし(会計ソフトそのものではないですが、もう少し低レベルのものをリリースしてますね…完全な「自動」ではないですし、事務所内での作業負荷低減を目的にしていて、結局「普通に会計ソフトを使ったほうが速い」ということになってお蔵入りしましたけど)。

「後から考えたら当たり前」というよりも、「昔、同じようなことを思いついたけど実行に至らなかった」というイメージではないか、ということです。

弁理士・特許事務所によっては、「特許としては認められづらいので、実用新案として出願したら?」とアドバイスするかもしれないような案件ではないかと(あくまでも素人の意見ですが)。

 

freeeがすごいのは、

「これを実際に形にしてみせた上に、きちんと事業として成立させた」

ところであって…「業界」の既存プレイヤーは、

・一般的な税理士事務所は、既存の会計ソフトのスタイルを「当たり前」のものとして受け入れている

・そのような税理士事務所にとって、スタートアップや(実績のない)個人事業主は、リスクが大きすぎて顧問先として積極的に取り入れづらいので、そのような層にウケそうなソフトの開発にコミットしづらい

というような感じで、「利益を出せる事業にならないだろう」と見ていて手を付けなかった、というのが正直なところではないでしょうか。

もちろん、このように、自ら努力して築き上げたものは保護されるべきだという考えも分かるのですが、それは特許ではない(目的が違う)だろう、と。

 

なので、今回、マネーフォワードが(まだ確定判決ではありませんが)勝訴したことについては、予想通りというか、特に驚きませんでした。

もちろん、特許としては有効なので、マネーフォワードが使っている技術がこれを「侵害している」と認められる可能性はあったわけですが、特許の内容がやや「ざっくり」した「幅広くあてはまりそうな」感じのものだからといって、幅広く侵害を認める、というわけでもなかったということかな?と。

 

もっとも、今回はマネーフォワード側の弁護士が一枚上手だったという感もあります。freeeは今回、機械学習に関する特許の侵害については含めずに提訴し(ある意味freee側の戦略ミス)、マネーフォワード側の出方に合わせて後からそちらも加えようとして却下されていますが、このあたりは「相手の失策を見逃さず、挽回の機会を与えない」ように上手くやったなあ、と感じます(プロにとっては当たり前のことかも)。

最初からこれらを合わせて提訴していたとしたら、結果はどうなっていたのかわかりません。

裁判の論点も、freee側が主張したかったポイントから、マネーフォワード側がうまくずらすことに成功したような印象があります。

といっても、マネーフォワード側がずるい、という話ではなくて、裁判で争う以上当然のことだと思います。