構築中。

名古屋のITインフラお守り係です。ITイベントへの参加記録などを残していきます。

PostgreSQL Conference Japan 2025

2022 年から 4 回連続、通算 6 回目の参加でした。

www.postgresql.jp

PostgreSQL のカンファレンスですが今回、話を聞いていて MySQL の今後について考える機会が多かったです。

午前

オープニング

近年で最高だった 2019 年をわずかに超えたそうです!

(人が多いのは感じていました)

基調講演(キーノート)

キーノート 2 本のうち、1 本目が Snowflake で 2 本目が AWS でした。

(去年は AWS が 2 本でしたね)


「OLTP も OLAP も 1 つに集約」という最近よくある流れですが、

この分野に関しては AWS は頑な(?)にビルディングブロックを貫き通していますね(zero-ETL で接続)。

そして、

「alt SQL」ってなかなか出てこない&定着しないですよね。

個人的にはやはり、

これが頭に浮かびますね。

(実際のところ、HeatWave については「HeatWave を出す前」の段階に勝負の分かれ目があったのでは?と思っています。その点については後ほど)


歴史の話(?)からスタートしましたが、Joe Conway さん、「コンウェイの法則」の方とは別人です。

まだ大学に通っていたのと、大学は情報系に無関係な文系で財務会計のことを勉強していたので、Ingres や Postgre95 とは無縁でした。

30 年前はこんな時代だったんです。

PHPRuby もこのあたりから)

なお PostgreSQL のコミュニティ運営ですが、

Oracle 社内のチーム以外コミットしない MySQL とは体制が全く異なりますね。

そんなこんなで質問タイムに来て、「最近 PostgreSQL と比べて MySQL に勢いがない原因は何だと思うか?」という趣旨の、難しい質問が。

Conway さんは「AWS の見解ではなく私見」と断った上で、

  • Oracle による Sun の買収
  • ほぼ同じタイミングで、MySQL を使っていた各社のサービスがマイクロサービス化したことによりデータストアの再選定が起きた
  • Oracle からの移行ブームが始まったとき、受け皿としては Oracle に機能的に近い PostgreSQL が選ばれた

の 3 点を挙げていましたが、

(2 点目は 旧 Twitter のことを指して言っていたのかな?)

を挙げていたのが MySQL ユーザ会の某氏(注:今回の PostgreSQL Conference Japan 2025 には不参加)で、私の見解は、

です。

(そもそも「Oracle ショック」は InnoDB の開発元である Innobase 社が Oracle に買収されたタイミングですでに発生していて、結果的にはそこまで大きな変動は生じていなかった)

結局、とどめを刺したのはこれ↓だと思っています。

HeatWaveMySQL 5.7 のプラットフォームで提供されたら、もっと言えば MySQL 8.0 が 5.7 以前からの細かな互換性を十分に保っていればもっとウケた可能性すらあると思っています。

なお、

こちらの話はクロージングのところであらためて。


11/24 夜・追記

Conway さんの見解、3 点ではなくて 2 点でした。

上に挙げた「2 点目」は MySQL ではなく Oracle を使ったモノリシックなサービスからのマイクロサービス化の話で、その受け皿が PostgreSQL だった、ということです。

日本では「Oracle で構築していたサービスのマイクロサービス化」の事例をあまり聞きませんが(そしてマイクロサービス化せずに OraclePostgreSQL の事例は(失敗も含めて)よくある)、欧米では一般的だった模様です。


午後

聞きたい話が重なっていて選定に悩みました。

各セッション(途中ブースへ)

まずはおなじみ(?)トランザクション ID の周回問題の話から。

PostgreSQL では WAL に記録するトランザクション「ID」の大小関係(周回する部分では一部例外あり)で更新後の値の可視性を判定する一方、最近のマネージドな分散 DB では、

な気がします。


そしてこちらもおなじみ、ストリーミングレプリケーションと論理(ロジカル)レプリケーションの話。

黒田(隼人)さんおめでとうございます!

MariaDB、やはり MySQL とは「別物」ですね。

だからこそ「知っていたほうが強い」んだろうと思っています。


CDC の話も聞きたかったのですが、朝早く出てきて眠気が…というのとブースも少し眺めたかったのでこちらへ。

Databricks の宿命?

諸般の事情(?)で話す内容から外した、とのこと。

キー値ではなくタイムスタンプで結合する対象を指定する、というのがデータ基盤っぽい(?)です。

このあたりの一時/永続ストアをいい感じに提供する話、のようでした。


ここから同じ部屋で AWS ブースへ。

Aurora DSQL の解説でお馴染みの新久保さんほかの皆さんと、PostgreSQL…というよりは Aurora DSQL だったり(最近サポートするキー(PK・SK)の数が据えた DynamoDB の話、そして Aurora MySQL や(他社サービスですが)HeatWave の将来性の話などをしていました。

なお会話中「Aurora DSQL の利用事例がほとんど出てこない」ことに言及しましたが、その意図は「事例があれば自社でも採用しやすい」ではなくて「事例が増えれば突然サ終する可能性が低くなる(事例がなければ逆に…)」のほうでした。

(「事例が…」のお話をするとだいたい前者のことだと思われがち)


最終セッション枠はこちらへ。

眠気のピークは乗り越えました(?)。

キーワード検索とセマンティック検索の違いの話でした。

PGroonga の場合はこの手法ではなくて、最初の設定(指定)時に LLM の埋め込みモデルをダウンロードして使う方法だそうです。

(ちょっと typo していますが)この雰囲気が良かったです。

クロージングセッション

資料はこちら→ DataBase 利用状況調査 2025年

3 年ぶりだそうです。

今回、

  • 平均年齢が下がった
  • 女性比率が大幅に上がった(4.5 倍!)

とのことでしたが、おそらくこれまでアンケートに回答してこなかった(アンケートを見かけること自体がなかった)層が今回(理由は分かりませんが)回答したことで、よりリアルな実態に近い結果になったのでは?と思います。

(代わりに統計的な連続性は失われたかも)

結果として、業務で扱ったことがあるデータベースの順位(上位)が、

ということで、初めて SQL ServerOracle を上回りました。

一見すると「SQL Server 躍進!」か「Oracle 凋落!」か…のように見えるのですが、実際は過去の調査で回答していなかった層の多くが SQL Server(Azure で提供されているものを含む)を利用していた+Oracle の使用が少しずつ減り続けている、ということでしょう。

なお、今回の調査で、

  • MySQL は 5.7 以前を使っている比率が高い(8.0 の壁を超えられていないユーザーが多数)

という結果に対して、「Oracle による買収が影響しているようだ」というコメントをされていましたが、

なので残念ながら不正解、ですね。

(調査結果から 5.1 以前(MySQL AB または Sun 時代)はすでにごくわずかで、「壁」となっている 8.0 以降と比べてもはるかに少なかった)

  • PostgreSQL は 10 以降のバージョンがそれぞれ満遍なく使われている

については、構築のタイミングで最新に近いバージョンが使われている可能性が高い点を挙げられていました。

なお、

でしたが、この調査項目も含めて

合計が「168」になっている調査項目が多かったので、集計ミスの可能性もありますね。

実際、

こんな間違いもありましたし。


このあたりの結果を見ると、

  • 依然として(少なくとも日本では)PostgreSQL 系よりも MySQL 系のほうがまだ利用が多い

ことがわかり(Aurora も PostgreSQL より MySQL のほうが多い)、

  • 世の中全体を見ると MySQL は安泰なのでは?
  • そもそもカンファレンスや勉強会に出てきて発表したりブログでアウトプットしたりする層は世の中全体とは傾向が異なっている

とも言えそうで、結果

というのは(今回 TiDB はランク外)ある意味「間違い」かもしれません。

ただ、「意志を持って自らデータストアを選定するのではなく、発注した先の業者や世の中のトレンドなどに身を任せる層」にとって、MySQL 5.7(以前)→ 8.0(以降)のマイグレーション」のような「事故がないように実施しようとすると大きな作業負荷やコストが掛かる作業」は非常にしんどいというか「見て見ぬふりをしたい」ものです。

そこに、

このあたりの問題が加わることにより、嫌でも動かざるをえなくなり、それに伴って事態が一気に変わる可能性も捨てきれません。

というわけで、「リアルな世の中の実態」と同じくらい(あるいはそれ以上に)「能動的なユーザーの動向」も大事…というのが私見です。

(そして PostgreSQL が「最新に近いバージョンまで満遍なく使われている」のに対して MySQL が「8.0 以降を使っているのが全体の半数に満たない」点(ちなみにその 8.0 も来春 EoL です)、「停止を検討」が多かった点を考えると、やっぱり「終わりが始まっている」感が強いですね)

懇親会

今回はちゃんとチケットを買ったので参加しました。

前回参加時(2023 年)同様 MySQL の人たちが少なかったのですが、アンカンファレンス勢(?)や PHP 界隈のみなさまを中心に交流してきました。

そして恒例の「各地のお土産争奪じゃんけん大会」では、四国高松の「くつわせんべい」をいただきました。

くつわせんべい

あらためて読み返すと

MySQL のことばかり書いてますね…。