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本の紹介/謙虚なコンサルティング クライアントにとって「本当の支援」とは何か

自分自身はコンサルタントではないのですが、勤め先は経営コンサルティング会社なので、タイトルが気になって買ってしまいました。

経営コンサルティング会社に勤めていて言うのはどうかと思いますが、(コンサルティング領域によって差があるものの)コンサルタントはあまり信用していません…。

謙虚なコンサルティング|書籍|英治出版

読み進めてみて、「謙虚な」の意味が少し自分のイメージと違う気がしないでもなかったのですが、「偉ぶらない」などの意味のほか、(原題が「HUMBLE CONSULTING」なので)「humble opinion」という言い回しに引っ掛けている部分もありそうな気がしました。

 

著者の言う「謙虚なコンサルティング」とは、(よくあるような)診断や分析をもとに「医者」のように振る舞い助言を与えるものではなく、「クライアントが直面している困難に謙虚な気持ちで共感的に向き合」うことで、クライアント自身が本当の問題に向き合って問題解決していくことができるように協力・支援していくこと、のようです。

 そして、「謙虚なコンサルティング」を行うためには、クライアントとの間に「取引上の、お役所的な、ほどほどの関係」(=レベル1の関係)ではなく、「個人的で打ち解けた(=パーソナライズされた)関係」(=レベル2の関係)が必要だ、ということです。雑に言えば、クライアントからホンネを引き出すためにはレベル1の関係では不十分、ということですね。

私の身の回りのコンサルタントを見ていると、表面上は「謙虚でない」コンサルタントのほうが、「謙虚に見える」コンサルタントよりも、この本の著者が言うところの「謙虚なコンサルティング」に近い考え方でクライアントに接しているような気がします。

なので、最初のほうで書いたように「謙虚な」の意味がイメージと違うかもしれない、と思ったのですが。

 

なお、「監訳者による序文」には「部下や同僚の力になりたいマネジャーやリーダーにとっても、本書は必携の一冊といえるだろう」とありますが、特に上司の部下への接し方については、文字通り見た目も「謙虚な」を意識したほうが良いかもしれません。

というのも、「部下の意見をよく聞いて理解している」ことを自認する上司ほど、部下との間で(この本でいうところの)レベル1の関係を脱していないことが間々あるからです。そして、その原因として、上司が部下に接するときの態度が(上司自身も無意識に)威圧的・指導的になっていることが考えられるからです。

この本に書かれているように、社会が複雑化して問題解決が困難になればなるほど、問題解決に必要な専門知識やスキルは直に接している人たち(コンサルタントから見ればクライアント側の人たち、管理職から見れば実務を行っている部下たち)が握る(一方でそれ以外の人に理解し難い)傾向がより強くなり、それゆえ問題解決を「直に接していない側の人」主導で行うことが難しい…という状況になってきています。

それなら、専門知識やスキルが乏しいコンサルタント/管理職が、変に診断・分析を行って見当違いな助言・指示をするよりは、本人たち=(コンサルタントにとっての)経営者・従業員/(管理職にとっての)部下のホンネを聞き出し、本当の問題の所在を明らかにし、意識させることで、本人たち自身で解決していくことができるようにしていくほうが良い、というわけですね。

 

 

いくら「部下の意見を聞く」という「行為」だけをしたところで、その態度が威圧的であれば、部下はホンネを言わず(上司に怒られそうな)都合の悪いことは隠そうとするので、問題の「真の所在」は明らかにならず、効果のある対処は難しいです。

私は管理職ではないので部下はいませんが、管理者の立場やベテラン支援者的な位置づけでプロジェクトに参加することがよくあるので、気を付けたいポイントです。